卒論
半年かけて、卒業論文を書いた。
端的に言うと、とても苦しめられた。
いや、苦しめられたというか、自分の能力の低さゆえに勝手に苦しんでいただけなんだけれど。
成績がでた今でも、悔いが残っている(単位取れたからなんでもいいんだけどね)。
私の研究は、簡単に言うと女性向けファッション誌で使われているカタカナについてのものだった。
最低2万字書かなくてはいけなかった。
4月から頑張っていれば…と思う部分もあるが、ゼミの先生が10月から赴任したのだから仕方ない。そこは。
もともとは3冊の雑誌を1年分調べるつもりだった。でも用例を集めるだけで莫大な時間がかかるから、先生と話し合って1冊の雑誌を3ヶ月分調べた。300例くらい収集した。
私の論文は5章立てだった。収集した用例を6つに分類して考察した。
中間発表が終わった日、先生が、年明けに第1原稿を出すようにと言った。この後も度々提出期限が設けられることになる。先生が細かに提出期限を決めてくださったのは本当に助かった。さもないと…考えたくもない…
とりあえず期限の日に第1原稿を提出した。徹夜して書いた。サボり魔なので。
(実は3ヶ月分の用例を収集するのに3ヶ月くらいかかった。サボり魔なので…本気でやれば3日でおわる量なのだが。)
返ってきた論文にはたくさんのコメントがついていた。
ここで私は気づく。
「あれ、私のコメント、多すぎ…?」
でも私は親譲りの馬鹿ポジティブ女。
「いやいや、書き始めだもん、まだまだ」
この時はまだ自分の論文が素晴らしいものになると信じてやまなかった。修正さえすれば。大丈夫大丈夫。
提出した論文には相変わらずたくさんのコメントがついていた。その部分を訂正して提出、訂正して提出を繰り返して、ある日学校で、先生と面談をした。
「誤字脱字が目立ちますね」
これはもうコメントでも散々言われていたことだ。すみませんと言うしかない。し、直せばいいだけだし、でも
「たいらさんは客観的な文章を書くのが苦手ですよね」
これは、かなり、私の、アイデンティティを脅かすほど、パワーを持った一言だった。
(え?私文章を書くのは得意で…だって小中高と私の作文が貶されたことなんてなくて、むしろ褒められるばかりで、中3の時には読書感想文入賞したくらいなんですが???)
でもね、それは「主観的な文章」だからなんだって、気づくのにそう時間はかからなかったよ。
(あ〜。私って客観的な文章書くの苦手なんだ。てか文章って2種類あるんだな〜。)
そこからの私はもう、自信喪失、というより、
「客観的な文章なんか書けないし」
と自暴自棄になった。2万字書けばいいんでしょ、そしたら単位くるもん。卒業できるもん。なんかね、自分の無知を突きつけられて、自分が得意だと思ってたものが実は苦手だって気づくの、ヤバいの精神的ダメージが。
そうやって、ゼミ生の中で1人だけ前日まで先生に添削してもらって、当日胃腸炎で高熱出てお腹痛い中論文訂正して学校行って印刷して生協で表紙買おうとしたら縦書き用の表紙しか売ってなくてはぁ〜〜〜???この学校横書きで出す人数の方が多いのになんで縦書き用の表紙こんな入荷してんだよ生協はバカか〜!?!?と思いつついやでも前もって買ってなかった私が悪いやすみません生協さん、とりあえず縦書き用の表紙買って綴じて出そつってゼミ室行ったら学科の子が「体調大丈夫?」つって気遣ってくれては〜これだからこの学科最高なんだよな〜と思いつつ友達に手伝ってもらって表紙つけて卒論2部と要旨5部提出したってわけ。は〜!おつかれ自分!って思ったのその日は。家帰ってから胃腸炎のピーク来て丸2日寝込んだわ。
でも本当の地獄はこれからだった。
口頭試問対策のためにゼミに行ったら、自分の卒論に他の人と比べ物にならないくらい付箋が貼ってあった。うげぇ〜
「誤字脱字、レイアウト崩れが多い」
「入りは文字研究なのに終わりは雑誌研究になってる」
「なんで表紙縦書き用なの?」
はぁ〜もう返す言葉もない〜だってその通りだもん。すみません、以外何も言えない。先生も半年かけて指導してきた学生がこんなだったら悲しいだろうな。もうほんとにすみません。
口頭試問では、副査の先生から
「これはたいらさんの推測では?」
「たいらさんはもっと頭のいい人だと思うのですが…」
と言われた。頭いい人だと思われてたのに裏切っちゃったな。きっつ!でも「もっと時間があれば…」ってフォローしてくれたから嬉しかったです。でも時間は関係なくて、だってほかのゼミ生はみんな素晴らしい論文を書いていたもの。
学科の中で一番出来の悪い論文。絶対そうだ。
有終の美を飾りたかったな。
気づいたことも多かったし、この経験は絶対人生で活かせることだと思うけど。でも、私は4年間何を学んでいたのかな。なんでみんなはあんな論文がかけるんだろう。私の何がいけなかったの。全部か。全部だ。セルフイメージ高かったんだな。
なんといっても、先生や家族、友人などなどいろんな人にあんなに支えてもらったのに、出来上がったのが30ページ越えの可燃ごみだということが悔しくて、情けなくて、ほんと。すみません。この場を借りて謝ります。あんなゴミに「良」をつけてくださった先生達の優しさに感謝。ほんと。落とすかと思った。
まぁ、この悔しさをばねに、4月から頑張ろう。でもやっぱ悔しいや。というか8日を迎えないと卒業できるかわかんないか。多分大丈夫だと思うけど。